「木浪さんを僕は全く疑っていない」――失策に肩を落とす木浪聖也を支えた“利他の心” 阪神の超秀才助っ人に惹かれる理由

グラウンド内外で紳士的な行動を見せるデュプランティエ。(C)産経新聞社
文武両道を地で行くデュプランティエ
取材すればするほど、その人間性と人柄にこちらが惹かれていく。阪神の新助っ人、ジョン・デュプランティエはそんな男だ。
身長193センチ、体重103キロ、足のサイズは驚異の33センチと恵まれた体格から繰り出される直球の最速は157キロ。まさに「剛腕」と呼ばれるタイプで間違いない。その体躯や投球スタイルから自然と豪快で荒々しいイメージを想像してしまいそうだが、性格は真逆と言ってよく、取材対応もスマートかつ紳士的。春季キャンプから取材をしてきて、すでにそんな場面に何度か出くわしてきた。
【動画】切れ味抜群の変化球! 阪神デュプランティエの奪三振シーン
最近は、顔を覚えてもらったのか、すれ違う時には必ずグータッチであいさつを交わす。通訳を通じて「取材をお願いします」と伝えると笑顔で「全く問題ないよ。何でも聞いてくれ」と返ってくる。
それも右腕の過去をひもとけば納得がいく。実は、中学生時代に学業成績や課外活動で優秀な生徒が選抜される「National Honor Society(全米優等生協会=NHS)」に入会した経歴を持っている。両親の影響でスポーツだけでなく勉学にも励んできたといい、テスト勉強は「あまりしたことがない」と豪語。授業でインプットしたことは「だいたい覚えられた」そうで、復習をほとんど必要としなかった“超”の付く秀才だ。
NHSの入会条件のひとつに積極的な「社会奉仕活動」がある。デュプランティエも学力はもちろん「ホームレスの方に食料、毛布、水とか必要なものを渡してあげたりした」と慈善活動にも積極的に取り組んでいた。
文武両道を地で行くのは両親の影響がある。30歳は「家族が教育熱心で小さい時から大人になるまで勉強に一番重きを置いていた」と明かし、得意科目が数学、理科、統計学であることも教えてくれた。
「打者にいろいろ聞いたり、コーチ、ピッチャー、みんなと、まずたくさん話していろいろ聞く。聞いて、学んで、やってみる。その繰り返しをする。(打者で)高めが弱そうとかカーブが有効とか、戦術的な部分は書いて覚えると思います」
たぐいまれな記憶力、頭の回転の速さは野球にも生きる。シーズンに入れば、空いた時間はほとんど対戦相手の研究のためにメモを書き記し、動画を見る時間に充てている。ダイヤモンドバックス時代の同僚だった元オリックスのアダム・ジョーンズの勧めで挑戦を決めた日本球界への適応も「新しい場所に行って“こういうふうに変えないといけない”と話せば、自分の頭の中でしっかり変換できる。頭の回転が速いことは野球をする自分を助けてくれる」と前向きに語る。